2023年の会社設立から僅か半年で、45憶円を調達したとして注目されている
「Sakana AI(サカナAI)」
AI業界に新たな風を吹き込む存在として話題になっています。
ですが、「具体的に何が凄いのか?」「これまでのAIと何が違うのか?」
分からない人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、サカナAIの凄さやその理由、使い方について紹介します。
サカナAIとは
「Sakana AI(サカナAI)」は2023年8月に創業された、社員数10名程度の小さな会社です。
創業した人物は「ライオン・ジョーンズ」さんと「デビッド・ハ」さん。
2人は元Google AIの研究者で、デビッド・ハさんは、
Google日本法人でAI開発を主導していました。
ライオン・ジョーンズさんは、現在のAI技術の土台となった
「トランスフォーマー技術論文」の著者の1人です。
業界のビッグネームによって作られた会社として、注目を集めていました。
日本政府の大きな期待
大きな期待が寄せられたサカナAIには、多くの有名企業から資金出資が行われました。
そして創業から僅か半年となる2024年1月に総額45億円の資金調達が発表されています。
主な資金出資者
- キャピタル(シリコンバレーのトップベンチャー)
- NTTグループ
- KDDI CVC
- ソニーグループ
さらに、日本政府が日本発の生成AIを創出するために、
スーパーコンピューティング助成金の公募がされていました。
その中にサカナAIも選定されました。
これにより、Googleが提供するデータ学習に使うクラウドを
2月から8月までの半年間、無償で扱えるようになりました。
このために日本政府がGoogleに支払った金額は、84億円といわれています。
日本政府が大きな期待を寄せているのがわかりますね。
独自の生成AIを生み出せる可能性
サカナAIがここまで注目される大きな理由が「新たな生成AI開発の手法の開発」です。
これは「進化的モデルマージ」ともよばれ、
従来のAI開発を一新する画期的な手法となると期待されています。
何が違う?進化的モデルマージ
従来のAI開発には以下のような問題がありました。
- 膨大な時間と労力
- 膨大なコスト
- 人間の経験や知識に依存
それらを解決したのが、進化的モデルマージです。
進化的モデルマージでは、以下のような仕組みで従来の問題を解決しています。
- 機械学習によって自動的にモデルを生成
- 従来の1/100以下の計算資源でモデル開発
- 進化的アルゴリズムを用いて最適な組み合わせを実現
これらを用いて開発した日本語モデルがこちらの3つです。
- EvoLLM-JP:日本語で数学の問題を解けるLLM
- EvoVLM-JP:日本語の画像とテキストを理解するモデル
- EvoSDXL-JP:日本語の画像生成モデル
この中のうち、「EvoVLM-JP」のデモが無料で公開されています。
気になる人は試してみましょう。
【サカナAI】なぜ日本なのか?
サカナAIを起業した、「ライオン・ジョーンズ」さんと「デビッド・ハ」さん。
AI開発といえば、アメリカや中国などが先進国として有名です。
そんな中、どうして2人は日本を選んだのでしょうか?
NHKの取材に対して2人は、AIの研究開発拠点がアメリカのベイエリアと
中国の北京に集中している現状に対する懸念を表していました。
AI技術が少数の企業や政府に支配されるより、
地政学的・経済的に日本が技術開発の分野で重要になると考えたとのことでした。
また、お2人とも日本がとても好きであることも、選んだ理由のようです。
サカナAIの使い方
サカナAIは、2024年4月22日に画像生成AI「EvoSDXL-JP」を発表しました。
従来の日本語モデル画像生成AIが40ステップ必要としていた推論作業を、
4ステップまで削減しています。
これにより、推論速度ベースで10倍の高速化に成功。
使用してみると分かりますが、画像の生成速度がかなり早いです。
EvoSDXL-JPの使い方
- サカナAIのEvoSDXL-JPページにアクセス
- プロンプト入力画面に、生成したい画像の単語(夕焼け 猫など)を入力(日本語)
- 単語を元に画像が生成
まとめ
今回は、サカナAIの凄さやその理由、使い方について紹介しました。
その結果がこちらです。
- Google AIの研究者2人が起業
- 日本政府も大きな期待を寄せている
- 既に高性能な画像が生成AIが公開されている
現状ではデモ版の公開となっていますが、現時点でもかなりの性能を持っているのが分かります。
多くの企業や政府が期待を寄せているのも納得ですね。
今後の開発状況にも注目していきましょう。